BTG『大陸西遊記』~中之島仙人による 三次元的歴史妄想記~
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『大陸西遊記』
“Journey to the West of Zipangu”


中嶋健治

編集長 : 中嶋 健治

1978年生まれ。兵庫県姫路市出身。郷里の 英雄・黒田官兵衛と同じ風景を見て育った。
大学・大学院時代には 経済学&社会学を学びつつ、趣味の「史跡巡り」と「海外バックパッカーの旅」に没頭する。 複数の国際交流サークルに所属し、フランス語、ドイツ語、中国語を習得。
そのまま 南アフリカ共和国・ヨハネスブルクに一年留学し(2003~04年)、現地で知り合った中国人留学生と共に、貿易仲介サービス会社を起業。 以降、世界中を飛び回り、『日本経済新聞』、国内雑誌、香港地元紙『明報新聞』などに取材記事が掲載されたこともあった。

コロナ禍を機にセミリタイアし、現在は育児の傍ら、 仙術の修行に励む。本人は先走って「中之島仙人」を号する。 座右の銘は、「鶏口となるも牛後となるなかれ( It's better to be a big fish in a little pond than a little fish in a big pond)」、 「継続は力なり(Continuity is the father of success)」。


  【 著作・受賞歴 】

   『「グローバルチャイナ」の現在』(大学教育出版、2010年)共著 第 6章担当
   『「香香」と中国と私』(日本僑報社、2023年)第 6回 受賞作品集 P. 93~ 収録
   『人工知能』人工知能学会(JSAI)学会誌 Vol.39 No.5(2024年9月号) P. 711 収録

   一般社団法人 日本マリーナ・ビーチ協会 (2024年)「創立 50周年記念論文」協会会長賞 受賞
   人工知能学会 JSAI / ALIGN (2024年)「超知能がある 未来社会シナリオ・コンテスト」入選
   第 6回(2023年)日本僑報社「忘れられない中国滞在エピソード」 コンクール 三等賞 入賞
   Wemake(2023年)× 野村ホールディングス「新価値創造プロジェクト」最優秀賞 受賞
   文化庁 「第 3回(2023年)メディア芸術データベース 活用コンテスト」 最優秀事例 入賞
   第 15回(2022年)一般財団法人 公園財団「公園・夢プラン大賞」 ”やりたい夢” 部門 入賞
   第 5回(2008年)自由民主党「国際政治・外交論文コンテスト」 幹事長賞 受賞
   第 4回(2002年)「フジタ未来経営賞」学生奨励賞 受賞
   「ヤングベンチャー 2002 龍馬発掘大作戦」ビジネスアイデア・コンテスト(2002年)入賞





『大陸西遊記』目的とテーマ ~ 歴史上のその瞬間、その都市やいかに!? ~

本サイトは、古城遺跡に大きなロマンを感じ、母国日本の西方に広がるアジア大陸を周遊するうち、ついに仙人化した男の 見聞録&妄想忘備録を編集したものです。 書物から読み解く「歴史知識(時間軸)」と、現地を歩いて体感する「歴史現場(場所軸)」、 そして仙人独自の三次元的妄想との総合レポートとなっています。

そのテーマは、「その時代、その場所やいかに!?」。
各地に伝わる郷土史の観点から現場の歴史を振り返り、そのころの風景や様子を妄想してみる、 そして、現在はどのような変化を遂げているのか。。。という切り口でアプローチを試みています。

大陸西遊記

それら「歴史現場」へは、意識的・無意識的にせよ、足を運ぶ人々はこれまでも数多く存在したと思います。しかし、それらの知見や体験を記録化し、後世へ残す 作業を行った人たちはごく少数でした。現代では IT技術の普及により、写真、音声、画像、動画などで 瞬時に記録化し、世界中へ発信することが可能となっていますが、昭和以前の時代にあっては、 わざわざ文字に残す作業は非常に困難で、一大行事だったわけです。マルコ・ポーロ(1254?~1324年)の アジア諸国滞在中の体験談をまとめた『東方見聞録( The Travels of Marco Polo )』が有名ですが、実際、それより以前にも 東アジアを往来したヨーロッパ&中東系商人や船乗りたちはもっとたくさんいたはずで、『”日本”という黄金の国がある』という 話も知っている人はいたことでしょう。しかし、史書や記録に残すことなく、せいぜい周囲の人間に 話して聞かせるぐらいに終始し、後世の多くの人々に何らの影響も残さずに散っていった貴重な 体験談や情報は、この歴史上に、どれほどの数、埋まっていることでしょうか?

筆者は上記の教訓を活かしつつ、未だ日本人が知らない「眠れる歴史秘宝」、 その中でも「城郭都市」にスポットライトを 当てて、旅路の中での体験談、地元で得た情報やアイデアなどを編集し、 本サイト『大陸西遊記( Journey to the West of Zipangu )』を上梓する次第であります。


仙人の独り言 1 ~ 歴史のタテ軸 ヨコ軸(時間と場所)とは ~

そもそも私たちの身の回りには、「歴史」との接点がたくさん転がっています。

例えば、地名。
東京 ですと、大手門、溜池山王、赤坂見附、半蔵門、銀座、日本橋、鍛治屋町、 八丁堀、新橋、浜松町など、日常会話で一日一回は言及している のではないでしょうか? これらは、江戸時代に実在した 町名や地名、大名屋敷名の記憶が反映されています。

大陸中国台湾 も同様に、「南門口」「東門路」「府前街」「米倉巷」などなど、かつての城郭都市時代の生活の記憶が、現在の路地名や地名にしっかりと刻み込まれています。 また 英国ロンドン にある「London Wall 通り」、「Bishopsgate 通り」、「Cheapside 通り」や、 独ベルリン にある「Jüdenstraße(ユダヤ人通り)」、地下鉄駅「Hallesches Tor」や「Schlesisches Tor」(”Tor” はドイツ語で”城門”の意)なども同様です。

こうした歴史の残影をプロットしていくことで、「その場所に、かつて何があったのか?」という視点から、旧市街地の風景や生活を想像することができます。 その際、古代の王朝勢力図や都市の古地図、そして文献資料を総動員しつつ、 脳裏で場所軸と時間軸を交錯させていくことになります。

大陸西遊記 大陸西遊記

当サイトは、「その場所」へ直接、乗り込み見聞してきた内容を、 できるだけ豊富な写真と地元情報を収集し、掲載しています。 ナマの現地情報を最も近い「現場、地元」から入手したい、という読者の皆様の 好奇心&探究心に、 少しでも貢献させて頂ければ幸いの極みでございます。


仙人の独り言 2 ~ 歴史の三次元的アプローチとは ~

そして、この タテ軸・ヨコ軸の二次元的事実にさらに花を添えるのが、「その時、その場所で、人々は何を選択したのか」という三次元的妄想です。「なぜ、ここでその人物はその行動を取ったのか」、という心理面での推察は、いつも後世の人々が後付け的に考え、解釈してしまう歴史アプローチなのですが、同じ人間が生きてきた空間を我が身のごとく体感し、「もしも、If....」の妄想世界へと広げてくれる面白さこそが、「歴史」の醍醐味と言えます。

ドイツ帝国の 宰相ビスマルクの格言に、『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』というものがあります。
これだけ科学技術や 医療、消費文化が発達した現代にあっても、人々は過去の歴史や体験談から今後の未来の指針を得ようと必死です。今日、世に出回る多くの 経営指南書、人生哲学書、占星術書などは、結局は古典の引用、過去の歴史事実や統計データの集大成などを起点に、現代世界に合致する内容へ解釈を展開し、分かりやすく解説されているものと言えます。人間は過去の事例から謙虚に学び、不確実な「未来」への道標とするしか、将来の不安への対処法を 持ち得ないのです。

大陸西遊記

「歴史」を学ぶこと、それはすなわち、「未来」へ生きる我々自身の健康診断、と言えるでしょう。


BTG城郭都市研究会 ~ 歴史遺産保存活動の人類史的意義と、国家百年の大計を説く 〜

真摯に「未来」に向き合うとき、過去の歴史事実や遺跡は、我々現代人に多くの示唆を与えてくれます。こうした歴史上の先輩諸氏の生き様を敏感に感じ取るべく、我々は脳内アンテナを常に研ぎ澄ましておく必要があります。そのためには、やはり「歴史」を日常的に体感できる場が必須だと考えます。

こうして観点から、歴史遺跡の保存活動の意義が見えてきます。すなわち、過去に生きた人々から謙虚に学び、今に生きる我々自身の人生訓とし、またその知見を未来の次世代へ継承させていく バトン・レースにおける、「バトン」そのものと言えます。

西洋文明が世界を席巻した近代以降、多くの国や地域では、 それまでの自らの伝統文化や風習を時代遅れのものとみなし、蔑視や破壊、排除の対象としてきました。
今日の大陸中国もまさに経済成長が最適解の時代にあり、 よりよい物質社会を追求するあまり、目下、無数の貴重な歴史遺産がないがしろにされ、 ぞんざいに取り扱われています。しかし、どの国でも同じように、一定の経済的 豊かさを手に入れた段階で、それまでの自国文化や遺産の大切さにようやく気付き、 その保護策が講じられるようになってきます。台湾しかり、韓国しかり、そして日本も同様でした。

大陸西遊記

中国政府も経済開発や技術革新を志向する一方で、 愛国教育や文化政策にも力を入れていますが、そもそも同政策の両立自体が実践困難である上、 さらに国土と人口が巨大でコントロール困難な中、競うように成果義務を課された地方政府は、 より分りやすい結果の見える前者の施策に傾倒しやすくなるのは仕方ないと思われます。

他方で、我々日本国はじめ多くの国々では、近代化の過程で破壊してしまった 歴史遺産の 復元・保護活動が重視され出して、既に久しいです。 例えば、戦前の都市開発で姿を消した尼崎城の復元や、名古屋城の 木造再建(戦時中の空襲で全焼してしまった) などがその例で、往時の歴史遺産の安易な破壊が裏目となって、莫大な費用と手間が市民にのしかかることとなっています。 こうした他国の教訓を活かし、現代中国にあって、未だ手つかずに残る歴史遺産群を早急に保護対象とし、 同時に地方政府や 住民らへの周知徹底を確実に実行してほしい、と説に願っています。

筆者は『大陸西遊記』編纂を続けながら、こうした大陸中国における歴史遺産保護の不十分さを目の当たりにし、 悠久なる歴史を体現する遺跡保護の支援や 啓蒙活動を目指して、「BTG城郭都市研究会(Institute of BTG)」なる団体を立ち上げました。 目下、中国人メンバーらと共に組織的活動を進めています。

経済が発展し、生活が豊かになった後、人々が求めるもの、 それは健康的で文化的な生活空間とライフスタイルでしょう。 ここに効果的にひと花添える役割を担うもの、それが歴史遺産であると思っています。特に数百年の時を経て現存してきた歴史遺産は、 人々のロマンを掻き立てるパワーが、復元物とは全くレベルが違うのですから。

少しでも多くの歴史ファンを増やし、また「教養」としての歴史知見の大切さや 面白さを広く社会に発信しながら、未来永劫にわたって 歴史遺産の 保存・広報活動を展開していきたいと考えています。『大陸西遊記』はじまりの、始まりです。


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